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 最近の子供達を見ますと「人と心を合わせる」ことが極めて不得手になっているように感じます。この理由の一つを、現代の教育が子供の個性や主体性を重要視し過ぎてきた結果であると言っても過言ではないと思います。個性を大切にすることが、いつしか自分の主張ばかりを押し通すことにすり替わり、その結果相手の身になって考えたり、相手を思いやることができない子が増えてきているようです。
 近年特に増加している家庭内、或いは学校での子供たちに関わる事件の増加が、このことを顕著に物語っていると思います。
 私が子供達と雅楽を始めたのも一つには、このような現代の子供達の人との交わり方に危惧を覚えたからでした。
 では、何故雅楽なのか?単なるお稽古ごととしてならば別に雅楽でなくても何でも良かったのかもしれません。しかし、私が雅楽にこだわったのには確固たる理由がありました。
 雅楽の演奏形態には指揮者がおりません。そのため自分のパートを一人で演奏することはできても、それを合わせるとなると、一人一人が他の奏者の奏法や呼吸といったものを絶えず意識しなければ合奏が成り立ちません。よく初心者が初めて合奏をする時など「どこを吹いているのかまったく分からなくなった。」と言っているのを耳にしますが、指揮者がいない分、他の音楽に比べて他者を聴くことが重要になってきます。
 また、雅楽独特のゆっくりした拍子も、リズミカルなテンポに慣れ親しんでいる現代の子供達にとっては苦手な分野のようです。ついつい我慢ができずに先走る子も少なくありません。いずれにせよ自分を主張しているだけでは良い演奏はできないのです。言うなれば、雅楽の演奏を通して必然的に他者との協調や人に対する思いやりの心を育成できるというわけです。
 音楽の形態だけでなく、雅楽で使われる楽器はどれも原始的な構造のものばかりで、音が出るまでにも多少の時間が掛かります。当然、楽しい合奏ができるようになるまでには、より一層の努力と時間が掛かります。ゲーム世代の子供たちは、直ぐに結果の出ないことが苦手と見え、長続きしない子も少なくありません。しかし、このことも裏を返せば「根気強く続けること」を学ぶ格好の材料かと思われます。
 さらには、伝統芸能特有の礼儀や作法もその根底には他者に対する敬意の念が流れており、雅楽が本来必要とするものと相通じています。
 これらの奏法、作法が共に情操教育の上に役立っていることは言うまでもありません。
 「萌雅会」は小学2年生〜67歳まで、幅広い年齢層の会員からなる雅楽会です。現在会員は35名。(大人と子供の割合は半分)稽古は毎月、初心者、上級者、合奏と計4回。大人も子供も一緒に稽古しますので子供達にとっては大人とコミュニケーションを交わす良い機会でもあります。
 最近では世代を超えて活動する場が減ってきているようですが、昨年11月には富山市立呉羽小学校にて、男女参画活動のモデルケースとして依頼演奏を行いました。
 活動の拠点は金沢市元町の天理教陸牧分教会です。信者、未信者は問いません。宗教の勧誘もいたしません。最近、信者以外の参加者が増えてきました。お寺のお坊さんを始め他宗教の方も参加しておられます。また、月例の稽古のほかに、毎週木曜日(午後8時〜10時)には鶴来町の山田葬儀店さんにて出張稽古も行っております。
 尚、月例の稽古は、講師の先生をお呼びしているので、月々の会費を集めさせて頂いております。詳しくは稽古の頁を参照ください。
初心者大歓迎です。年齢性別を問わず、雅楽を楽しみたい方、子供の教育に不安をお持ちの方のご参加をお待ちしております。